「獣人タイプのセクサロイド…ですか?」
「あぁ。生態型で、少年タイプのものを作ってほしい」
「……はぁ」
「報酬は言い値で構わん。できれば2年くらいで…なんとかならんかね?」
「…キツイですねぇ。ま、やってみますよ」
俺の仕事はアンドロイドの開発・研究ってやつだ。金持ちの娯楽用にアンドロイドを作るのが主な仕事内容で、今回もまたムチャな注文をつけられ仕事を請け負った。獣人で少年タイプね…ったく。金持ちの考えはわかんねぇな。ま、とんでもねぇ金が貰えるからいいんだけど……。
「……完成しましたね」
「あぁ…多分」
「多分だなんて…大丈夫ですよ、何も問題ありません」
「とりあえず、目ぇ覚ましてからじゃないとわかんねぇかんな」
「くすっ。起動するの楽しみですね」
「まぁな。明日から少しこいつ等、調整しないとな」
プラントの中で眠っている2体のアンドロイドを見ながら煙草を咥える…と、すかさず助手の柏木君が火を点ける。
「ありがと」
じつに彼は真面目で、よく働いてくれる。見た目は、ややとっつきにくそうな感じだが腰が低く謙虚で気が利く。ルックスもそこそこだし、ガタイもいい。
「…どうかしましたか?」
「あ…いや、なんでもない」
ついつい、じっと見つめてしまっていたらしい。視線を逸らし、またプラントを見つめる。
「こいつ等の調整、君にも手伝ってもらうからね」
「はい。わかっています」
「……って、さぁ。今回、ちょっといつもと違うんだよね」
「はぁ…というと?」
「こいつ等、セクサロイドとして売らないといけねぇんだよ」
「……はぁ」
「だから…そゆこと」
「……はぁ、で?」
「で?…じゃなくって。だからぁ、明日から俺こいつ等とやりまくっから」
「は!?」
やっと事態が飲み込めたようで、柏木君は目を真ん丸に見開き俺を見つめた。
「…で、君からサンプルデータを取らせて欲しいんだ」
「……博士?」
「うん。だから君にも同じことすっから」
「そんな…嫌ですよっ!!なんで、私が…」
「んなこと言ったって、仕方ないだろ?男のデータ、必要なんだから」
「………」
「給料、いつもの倍出すからさ」
「お断りします。私じゃなくって、誰かそれ専門に雇って下さい」
「慣れてる子じゃ駄目なんだっての」
「……だからって、なんで私が」
「うーん…俺の好みってやつかな」
「………」
やっぱり納得しないか…真面目だし、ホモじゃなさそうだかんな。しょうがない、ここはひとつ力技でいくか。
「ごめん」
「え???」
ポケットから麻酔針を取り、素早く彼の首に刺した。
「……あ…博…士!?」
床に倒れた彼の身体を抱き上げてみると思っていた以上に重く、俺はやっとのことで別室まで運んだ。目が覚めて抵抗されるとやっかいなので、身につけている服を全部脱がしレザーの拘束具を付け、鎖を手枷にかけた。このまま少し楽しみたい気もするが、それは明日にとっておこう。鍛え上げられた筋肉に、レザーの拘束具がよく似合う…軽く頬を撫で、俺は部屋を後にした。
クライアントに納品する期限まであと2ヶ月。セクサロイドとして機能するまで、調整するには十分な期間だ。
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