２年前の冬。

主人公『妹尾奏巳（せのおそうし）』は、『月本亜貴（つきもとあき）』と出会った。
それまで知りもしなかった相手。
会う回数を重ねるうち、いつしか二人は体を重ねる関係にまで成り上がる。

２年後の冬。

二人は変わらない関係を続けていた。
だが其処にあるのは変わり果てた風景だった。

自分の感情すら見失い、奏巳はいい加減な状態のまま別れを切り出すこともせず現状維持を続けた。

アキは変わらず自分へ好意を向けてくれる。
だが、自分は今の気持ちが見えない。

そして奏巳は毎日自分の部屋へ通う亜貴へ言う。
こなくていい、と。

別れ話をしたかった訳ではなかった。
だが、その言葉は状況を逆撫でする。

翌日、亜貴の兄『健人（たけひと）』から呼び出され、行った先にいたのは記憶を失った亜貴だった。
奏巳は、記憶の無い亜貴を一晩健人に任される事になる。

遠くなる声。
--------------------------------拙く紡いだその言葉が再び共鳴する日は、来るだろうか。

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　いつもは面倒に思わない事が面倒に感じたりいつもは鬱陶しく感じられない事が鬱陶しく感じられたりします。
　しかしながら軽はずみな一言がどれだけ人を傷つけるか。それによって何が起こるか。
　アキはライナスの毛布（らいなすのもうふ、英語:Security blanket）です。
　愛着理論によると、心理学における人と人との親密さを表現しようとする愛着行動についての理論から由来する概念。他の人間と親密な距離を求めようとする傾向の事で、その人間が傍にいてくれるなら安心感が得られるというものだそうです。
　あえてトゥルーエンドをラストに見る事にしました。
　今作では7種類あるエンディングの内ラブエンドはたったの一つしか存在しません。
　しかもそのたったの一つのラブエンドもフィクション丸出しの甘い結末ではありません。
　色々な関係のカップルが存在しても良いと思うのです。
　それが少々歪んだ関係でもお互いがお互いを必要とし合える関係ならば有りなのでは無いでしょうか。
　「人は変わらずには居られない。
　変化していく事は前に進んでいる証拠だ。」
　と、作中にあります。
　今回の事を教訓にお互いに良い方向に変わる事が出来、お互いに言いたい事を言い合える打ち解けた関係になり、そうしてお互いが一緒にいる事で安らぎと幸せを感じられるようになれる事を祈りつつ。
　例えそこに愛という感情が無いとしても。