「郁未……これからはずっと傍に居れるからね…。
. 郁未の大好きな特製クリームシチュー、毎日作ってあげるからね…」
六年ぶりに帰ってきた母。
しかし穏やかな暮らしは長くは続かない。
結局、彼女は失われた時間の、取り戻すことなどできない時間の謝罪をしていったに過ぎなかった。
母と過ごした無邪気な日々の終わりに復讐を誓う少女、天沢郁未。
彼女は母が最後に身を置いていた”FARGO”と呼ばれる宗団の隔離施設へと潜入を果たす。
その輸送トラックの中で待つのは、仲間となる目的意志を持った少女たちとの出会いだった。
「それぐらい強い意志でないと、挫折してしまう。真実を知ったときにね」
心に伏した思いと共に、帰らぬ兄を追い求める少女、巳間晴香。
「…でももう、すべては取り返しのつかないことだったんです。
思い出さないままいた方がいい真実って、あると思いませんか?」
開かない記憶に脅え、心のより所である一人の家族との再会を望む少女、名倉由依。
その3つの心が交わる場所。
だが、それは心の奥底の痛みと邂逅を果たす場所でもあった。
「…なにをしてるの、あなたは」
自らを最も良く知る者と対峙する郁未。
「ついてこないで。もうあなたには関係ない」
ひとり過酷へと身を投じる晴香。
「…ごめんなさいって…謝ってたのに…。
…あたし…なんにも悪いことしてないのに…」
決壊する由依の記憶。
それぞれの心の痛みを胸に抱いて、戦い続ける少女たち。
繰り返す悲劇の中で、崩壊寸前にまで精神に破綻をきたしてゆく。
そして真実を知ったとき、自分の置かれていた状況に愕然とする郁未。
「それで……そんなふうにして何人の人間がこの状況から脱しえたの…」
残された時間は、多くはなかった。
その中で、ただ自分の目的へと向かう道を郁未は選択する。
「教えて。私が復讐するに相応しい相手を」
その旅の終わりに少女たちが胸に抱いているものとは始まりか、それとも終わりか。
タクティクスの最新作、『 MOON.』
心に届くAVGのプレリュード。
私はあなたを探していた。
でもあなたはこんなところに居たのよ。
こんなところに…。
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