双六
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多分真夜中。 突然目が覚めた。 何だかとても怖い気持ち。寝られないの。不安で嫌な気持ちが体中を侵食するの。 こんな時はいつも同じようにお母さんと一緒に寝るのが一番。 とても怖いのだけれど勇気を振り絞って立ち上がらなきゃあ。 電気をつけるの。部屋を移動するの。そうしてお母さんと一緒に眠るの。 そうしたら怖く無いの。少しの勇気が欲しいのに。欲しいのに。欲しいのに。怖くて立ち上がれない。何か恐ろしいものがいるような気がして。いた事は無いのだけれど。(多分) しばらく考えてエィッと立ち上がる。手探りで電気のヒモを探す。もどかしいの。無い。私の部屋ってこんなに暗かったっけ?目が慣れない。いつまでたっても慣れない。変なの。 枕と布団を持ってお母さんの部屋へ。 そこでふりだしへ戻る。 夢。 変なの。 今までのは全部夢。 何だかとっても怖い気持ち。寝られないの。不安で嫌な気持ちが体中を侵食するの。 お母さんの部屋へ。 そこへ行けば怖く無い。 しばらく考えてエィッと立ち上がる。電気のヒモはやっぱり、無い。前より少し部屋が明るい感じがする。気のせいかもしれないけれど。 枕と布団を持ってお母さんの部屋へ。 「お母さんお母さん、一緒に寝よう」 そこでふりだしへ戻る。 夢。 夢。 夢。 疲れる。 でもやっぱり何だか怖い気持ち。寝れないの。どうしても。怖いの。不安で嫌な気持ちが一杯なの。体中を侵食するの。ドキドキするの。訳の分からない不安感。とても嫌な気持ち。 お母さんの部屋へ。行かなきゃ。そこで寝るの。安心出来るの。怖く無いの。だから……。 夢。 夢。 夢。 ふりだしに戻る。 一体何なのか分からない。意味が分からない。昔読んだ漫画のようだね。でも怖い。笑えない。訳の分からない不安。 ふりだしに戻る。 ふりだしに戻る。 ふりだしに戻る。 一体何度目なんだろう。体中が何だか少し痛む。生暖かい湿った空気。手を伸ばして古ぼけて埃を被った小さな扇風機のスイッチを入れる。カタカタと苦し気に回りはじめる。 朝が恋しい。本当は夜の方が好きなのだけれど。まだかな朝。家族の顔が恋しいよ。 目が覚めるととっくにお昼前で家中の誰もがもう出掛けていていなかった。 ふりだしに戻る。 ふりだしに戻る。 ふりだしに戻る。 |