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白い日
 大きな窓のある部屋。
 小さな部屋。
 大きな窓しかない部屋。
 入り口のドアも無い。

 思いきり羽根を広げる。透き通った大きな羽根。
 羽根が羽根にあたる。こすれた羽根の破片がぱらぱらと落ちる。
 大きな目が不満気にゆがむ。

 窓を蹴って飛び立っていく。

 今日も白くて良い一日になりますように。すれ違う度笑顔で挨拶を交わす。
 今日も空は白くてとても良い天気。

 大きな白い木を見つけてふわりと舞い降りる。
 大きな白い花が咲いている。
 蜜が欲しい。甘い甘い甘い蜜。
 駄目だ。
 木が怒鳴り声を上げる。
 必死でなだめすかす。
 駄目だ。
 それでも必死でなだめすかす。
 駄目だ。
 
 幹を思い切り蹴り飛ばしてまた舞い上がる。

 白い木の罵声が聞こえる。
 負けずに言い返してその場を去った。

 蜜を運んでいる小さな子供がいた。まだ産まれたてのようで小さな羽はまだ透き通っていなくていびつな形をしていてとても醜い。ふらふらと危なげに飛んでいる。
 背後からそっと近づいて小さな子供から素早く蜜を奪い取る。
 子供はバランスを崩す。悲鳴を上げる。そのまんま地面へと落ちてぱしゃりと潰れる。子供の身体から緑色の内容物が飛び出す。
 
 残念だったね。
 
 蜜を部屋へと運ぶ。
 甘い甘い甘い蜜。
 
 ゆっくりと口へと運ぶ。甘くてとても美味しい。とても白い気持ちになった。
 
 透き通った大きな羽根をたたむ。大きな目をゆっくり閉じる。
 
 いつものように祈る。明日も白い一日でありますように。

トラベルミン