にせもの
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私の身体は偽物の宝石で出来ている。 「偽物でも宝石は宝石じゃあ無いの。今のまんまでもとってもとっても綺麗よ」 私の愛しい兄妹達はいつもそう言って慰めてくれる。聞く度情けなくて涙がこぼれる。我慢しても駄目。駄目。駄目。駄目。駄目なの。情けなさで一杯になる。 ぽろぽろぽろぽろ。私の涙は硝子玉。悲しい位チンケな物で出来ている。そんな事を愛しい人達に言わせてしまう自分が情けない。私の身体が本物の宝石で出来ていたらだったらこんな気持ちにならずにいられたのに。 磨き続けていたらいつか本物の宝石になれるかな。 磨いて。磨いて。磨いて。磨いて。磨いて。 いつかきっと本物の宝石よりも遥かに眩しく、きらびやかに、高貴に、光り輝いてみせる。そうしたら私はきっと、満たされる。愛しい兄妹達も喜んでくれる。 「私は自分を磨く事が好きなの。それ以外ははっきり言ってどうだって良いのよ」 「偽物でも宝石は宝石じゃあ無いの。今のまんまでもとってもとっても綺麗よ」 でもね。一つ不安なの。 磨いて。磨いて。磨いて。 磨いて。磨いて。 そうして、何も残らなかったらどうしよう。 |