おかあさんがおとうさんになぐられている。
「いたいいたいいたいいたいいたいいたい」
おかあさんがおおきなこえをあげる。
「おとうさん、おかあさんがいたそうだから、やめて」
ぼくはおとうさんをとめようする。おかあさんはぶるぶるふるえている。
「じつはいままでひみつにしていたけれどね、おかあさんはね、あくまなんだよ。あくまはとってもわるいやつなんだ。わるいやつはやっつけなきゃいけないだろ?」
そうだったんだ。
おとうさんはまいにちおかあさんをなぐっている。
おかあさんはだんだんなにもいわなくなってきた。
「おとうさん、おかあさんはまえからあくまだったの?」
「ちがうよ。だんだんあくまにからだをのっとられていったたんだよ。だからおかあさんのからだのなかからあくまをおいだすためにおとうさんはしかたなくおかあさんをなぐっているんだよ」
そうだったんだ。
おとうさんはてつでできたぼうでおかあさんをなぐるようになった。
おかあさんはいちにちじゅうおなじばしょにすわったまんまうごかない。
おとうさんはおかあさんのくびをほうちょうできった。おかあさんのくびからくろくてあかいみずがたくさんでてへやがくろくてあかいいろになった。
おとうさんは、おかあさんのくびをほうちょうできった。おかあさんのくびからくろくてあかいみずがたくさんでてへやがくろくてあかいいろになった。おとうさんもくろくてあかいいろになった。
おとうさんは、にこにこわらっている。
「ねぇねぇ、おかあさん」
おかあさんは、なにもこたえない。
「これであくまがいなくなった。」
おとうさんは、にこにこしている。
「ねぇねぇ、おかあさん」
「これであくまがいなくなったよ」
おとうさんは、にこにこしている。
おかあさんは、なにもこたえない。
おかあさんのからだから、すごくいやなにおいがする。あくまにからだをのっとられるとからだがくさくなるのかな?おかあさんのまわりにはハエがたくさんとんでいる。
「ねぇねぇ、おかあさん。」
おかあさんは、なにもこたえない。
おかあさんのからだが、へんないろになってだんだんふくらんできた。
「ねぇねぇ、おかあさん」
おかあさんは、なにもこたえない。
しらないおとながおおぜいきておかあさんとおとうさんをどこかへつれていってしまった。
「みんな、あたらしいおともだちですよ。なかよくしてあげてね」
そこにはぼくといっしょくらいのこやぼくよりちいさいこがいっぱいいた。
テレビでみたことのあるおもちゃやおいしいおかしがいっぱいあってびっくりした。
いつもないているこがいた。てるやくんっていうなまえのこだ。
「ねぇねぇ、なんでないてるの?」
「おとうさんとね、おかあさんがね、しんじゃったの。ぼくをおいててんごくへいっちゃったの。」
「ねぇねぇ、ずっとないていたら、おとうさんとおかあさんがてんごくからかえってくるの?」
「てるやくんは、ここにきてからずっとああなんだよ」
ちょっとおにいさんのこがおしえてくれた。
てるやくんはまいにちまいにちまいにちまいにちないている。
ぼくはてんしのこどもだからてるやくんをてんごくへつれていってあげることができる。こうさくようのはさみをてにとる。
「ねぇねぇ、てるやくん。てんごくへいきたい?」
「え。」
「ぼくはてんしのこどもだからてるやくんをてんごくへつれていってあげることができるよ」
「ほんとう?」
「ほんとうだよ。おとうさんがおしえてくれたもん。みんなにいったらだめだよ」
「うん。」
おとなのひとたちがこまったかおをしている。
「ぼくはてんしのこどもなんだよ。おとうさんがそういったよ」
「てるやくんがてんごくにいきたいっていっていたからつれていってあげたんだよ」
なにかまちがってる?
なにかまちがってる?
なにかまちがってる?
ぼくはみんなとちがうばしょへつれていかれた。
いろんなおとなのひとにいろんなことをしつもんされたりいろんなことをいわれたりした。
ぼくはむずかしいことはぜんぜんわからないけれど、はやくおとなになってたくさんののひとをてんごくにつれていってあげたいです。
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