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魔法少女エリカ
 私、魔法少女エリカ! 皆には秘密だけど魔法の力で悪い奴達を倒すのがお仕事です!
 そうね。何から話したら良いかしら?
 いつもの学校の帰り道。塾の時間に間に合いそうも無いから近道をしようとしたの。そうしたら……何と! 大きな大きな卵を発見しちゃったのでした! 恐る恐る卵を触ったらジャジャーーン! パリンと割れて卵の中お喋りをするピンクの子猫リリィ=ローズが現れたのでした!
「やっと見つけた!あなたこそが世界を救う力を持った選ばれた子! お願い! 世界を救って!」
 もう、色々ビックリ! リリィ=ローズが言うには私のいるこの世界は大変な事になっているんだって! それを食い止める為にリリィ=ローズのいる世界の女王様が祈りを捧げていたけれどもう限界! うーーん。あたしなんかで出来るのかなぁ?
「あッ! 大変……。魔法のリップクリームをどこかに落っことして来ちゃった!」
 相棒のリリィ=ローズはおっちょこちょい!
「一緒に探して! ね、お願い!」
「塾に間に合わなくなっちゃうよーー」
「塾と世界の平和とどっちが大切なのよーーっ!」
「えーー!」
 そんなこんなで巻き込まれてしまっちゃたのでした。

「本当にすみません」
「困るんですよね……今回が初めてですから警察には連絡しませんが……」
「千恵子、謝りなさい」
 皆嫌いだ。お母さんもお父さんもお姉ちゃんも学校の皆も嫌いだ。
 お母さんとお父さんはお姉ちゃんと比べるから嫌いだ。
 お姉ちゃんは私の事を馬鹿にするから嫌いだ。
 学校なんて行きたくない。学校なんて行きたくない。学校なんて行きたくない。皆私を馬鹿にする。皆私の事を笑う。先生も嫌いだ。何もしてくれない。
 恥ずかしいけど、お父さんとお母さんにいじめられている事を言った。でも、何もしてくれない。お姉ちゃんは私の事を馬鹿にした。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。

 何と! 魔法のリップをワルイヤツの基地に落としちゃってたリリィ=ローズ! もう! バカバカバカ! ドジにもほどがあるよぅ!
 いきなりワルイヤツにつかまっちゃったし! もうもうもうもう! どうすれば良いのよーー! 
「ゴメンね! でも大丈夫っ。まだワルイヤツにエリカが女王様に選ばれた魔法少女だってバレてないから平気っ! ね……えへへへ」
 全然平気じゃ無いってばーー! リリィ=ローズのバカバカバカ!

 学校でも私の正体はもちろん秘密です。バレたらとぉーーーーっても大変な事になるんだって!もうドキドキ! だって授業中に事件が起こったらどうしたらいいの?!
「たーーいへん!事件よ!屋上でワルイヤツが暴れてるっ」
 え? え? え? 今授業中だよ? しかも怖い先生なのにーーっ! 無理無理! 絶対無理だから!
「早く行かないと大変な事になっちゃう! エリカーー! お願いっ!」
 無理! 無理! 無理だよーー!
「世界の平和と授業とどっちが大切なのよーーっ!」 
 またそれか! うーーん。それを言われちゃうと弱いんだよなぁ……。トホホ……。
「先生! 一寸トイレに行って来まーーすッ」
 そう言って教室を飛び出した! さぁさぁさぁ! 急いで変身しなきゃ! さっさと片付けて授業に戻らないと大変!

「何あいつ? ……大声で」
「何か必死だったから我慢の限界だったんじゃない?」
「……そこッ! 黙れ! 授業中だぞ!」

 トイレの一室に駆け込んだ.魔法のリップをポケットから取り出す。クルリとリップを繰り出して。口に塗るの。それと同時に呪文を唱えるの。

「? 何か変な声聞こえない?」
「千恵子の声か? アイツトイレで何やってんの?」
「酒井ッ! 正座!」
「ばーーか……」
「今井も正座ッ!」

 変身するとフリフリで動きやすい可愛いお洋服に着替えるの! ちょっとエッチなデザインなのが気になるんだけど……気にしない気にしない! 髪の毛の色だって変わっちゃう! 私の武器は魔法の杖。呪文を唱えると魔法の杖から光がピカピカ出るの! それでワルイヤツをやっつけるの!
「大変! 今、屋上から校庭に移動したわ」
「ええーー! 早く言ってよ!」
「そーーいうのはワルイヤツに言ってよねっ」
 もう! 許さないんだからーー! 本当に急がないと! 校庭では体育をしている子達がいるっ。ワルイヤツったら何をしでかすかわかんないからなーーっ!

「……? ねぇねぇ」
「シーー!授業中」
「あれってさ、三組の山田じゃね?」
「誰それ?」
「何やってんのアレ?」
「シーー!」
「あれってさ、トイレのデッキブラシ?だよね?」
「え?」
「そ、それよりもさ、あの子……何で下着姿なの?」

 今回のワルイヤツは鳥の形をした奴でした!もーー聖なる学び舎で暴れるなんてこの私が許さないんだからねっ!
 杖を構える。さぁ覚悟してよねっ!

「わ、ボール強いってーー」
「アハハ。ごめぇーーん。……?」
「どうしたのーー?」
「ね、あの子あんな格好で何やってんの?」
「……鳩を追い回してるんじゃないの?」
「……え? 何で?」
「せんせーーい!」

 ふぅ。今回のワルイヤツも強かったぁ。……アチャーー。結構時間掛かっちゃったみたい。早く授業に戻らなきゃ! たーーいへんっ。先生怒ってるだろうなぁ……。ううっ。

 はぁはぁ……。
「たッ! ただいま戻りましたァ!」
 急いで席に戻る。
 キャーー! 皆の視線が痛いよぉ……。
「お疲れ様! エリカ!」
 もう! リリィ=ローズったら。お疲れ様じゃ無いってばっ!

「山田? ……制服はどうした? 顔? 顔に何か塗っているのか?」
「リップ? リップじゃないの?」
「どうしたのアレ……顔中に塗ってんじゃん……」
「っていうか何で下着姿なの? それとさ、………………おしっこ……漏らして……ない?」

 集中集中! 次こそはテストで良い点取らなきゃだもんね! 魔法少女って大変!

「千恵子……お母さん今日学校に呼ばれたの。お母さんが何を言っているかわかるわよね?」

 何と! この世界の人間半分以上はワルイヤツに乗っ取られてしまっているんだって!
「残念だけど……本当なの。だからエリカがワルイヤツを倒して光のカケラを取り戻さなきゃいけないの」
「光のカケラが全部戻ったら皆元通りになるの?」
「そう」
 ワルイヤツったら! 絶対に許さないんだから!
 私、魔法少女エリカ! 皆には秘密だけど魔法の力で悪い奴達を倒すのがお仕事です!
 世界の平和の為に毎日色々大変だけれど頑張ってます!

トラベルミン