そう。知らないのか。え。ううん?別に。聞いてみただけ。何で?アハハ。何ソレ。そんな事よりもさ。
そう。誰も知らないのか。
そう。誰も知らないのか。
そう。誰も知る必要が無いのか。
くるりとひっくり返る。
ガチャリ。古びたドアを開ける。腐臭がする。
ぽたりぽたりと液体の滴り落ちる音が聞こえる。
「ただいま」
母さんの声。
腐臭がする。
「おかえり」
姉さんの声。
腐臭がする。
「父さんは?」
「今日も遅くなるって」
姉さんの声。
腐臭がする。
古びた階段を上る。ギシギシと嫌な音がする。
腐臭がする。
腐臭がする。
腐臭がする。
ぽたりぽたりぽたりぽたりぽたりぽたりぽたり
腐臭がする。
腐臭がする。
腐臭がする。
電話が鳴る。
「何?」
「え。ああ。何? 嫌、いいんじゃない? いいんじゃない? それで。うん? そうだね」
腐臭がする。
腐臭がする。
腐臭がする。
ぽたりぽたりぽたりぽたりぽたりぽたりぽたり
電話が鳴る。
「何?」
「え。ああ。何? 嫌、いいんじゃない? いいんじゃない? それで。うん? そうだね」
電話が鳴る。
「何?」
「え。ああ。何? 嫌、いいんじゃない? いいんじゃない? それで。うん? そうだね」
くるりとひっくり返る。
空をを見上げる。
どんよりと曇った空。
「腐臭がする……」
「フシュー? 何だ?それ?」
「え? 腐った臭い」
「え? 今?」
「そう。今。腐った臭いがする。……ね?」
「え? そうか?どんな?」
そう。知らないのか。え。ううん?別に。聞いてみただけ。何で?アハハ。何ソレ。そんな事よりもさ。
そう。誰も知らないのか。
そう。誰も知らないのか。
そう。誰も知る必要が無いのか。
「何? ……何……お前笑ってんの?」
「……え? 笑ってた? そう?」
腐臭がする。
腐臭がする。
腐臭がする。
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